Ashoka’s Key Ideas
アショカが描く「Everyone a Changemaker (誰もがチェンジメーカーである世界)」は
誰もが社会で居場所と役割を持ち、輝き、貢献する世界です。
その世界の構築を可能にするのは、エンパシー、新しい定義のチームワークとリーダーシップ、そしてチェンジメーキングの習得です。
Social Entrepreneur
Social work(社会福祉)の目的と、 Entrepreneurship(ビジネス起業)の戦略やアプローチを合わせて一つにした概念とその呼び名。1970年代にアショカ創設者ビル・ドレイトンが生み出しました。
これまでは社会福祉の領域だった貧困の軽減や環境の改善などを、 従来はビジネスの特徴であるアプローチ(現状の分析、 的確なゴール設定、巧みな戦略やスピード感など)で、解決策を打ち出すという新しい考え方。
「社会起業」と訳され、定義は150以上あります。「ソーシャル・ビジネス」とは、一線を引きます。
Conscious/Cognitive Empathy
「誰もがチェンジメーカーである世界」に近づくための核心的なフォーカス 。
心理学では、エンパシー(Empathy)は、大まかに分けて感情的エンパシーと、認知的エンパシーがあると言われていますが、私たちが提唱するのは、認知的エンパシーです。日本語の「共感」の意味と重なる部分の多い感情的エンパシーとは、一線を引きます。心の教育の第一人者で、アショカフェローでもあるメリー・ゴードンは、エンパシーを「(想像力で)自分の肺を他者の肺に重ねてその人の吸う空気を感じる能力」と、定義しています。
感情的エンパシーは、他の能力と同じように、人によって生まれつき強弱がありますが、訓練によって伸ばすことができるのが、認知的エンパシーです。人によって差がある感情的エンパシーは 感覚を司る扁桃体が支配しています。一方、判断や分析などを司る前頭葉を訓練することで、筋肉トレーニングのように鍛えることができるのが認知的エンパシーです。
他者の気持ちを(想像力で)察知する能力とも言える認知的エンパシーを幼い頃からの教育に取り込むことを、私たちは提唱しています。エンパシーは、チェンジメーキングの基礎となる能力です。
Changemaker
社会の矛盾や綻びを自分事として捉え、解決・軽減のための策を考え出し、一歩踏み出す人をチェンジメーカーと定義します。他の人が気づかずとも、自分だけが感じた違和感に目をつぶらず、「変える」という力に変換する人です。この「おかしいと感じた状況や事象を変えようとして行動すること」を、チェンジメーキングと呼び、その能力をチェンジメーカー・スキルと定義します。
チェンジメーカーたちの共通項は、ただ一つ「おかしなことを変えたい」という気持ちが、心と紐づいた本物であるという点であり、性別、学歴、年齢、経済力、社会的地位などの属性は関係がありません。
チェンジメーカーであるかどうかは、これまでの社会では重要視されてきませんでした。しかし目の前で始まっている新しい時代を輝いて生きるために欠かせない能力であると、私たちは確信しています。歴史的に見れば、チェンジメーカーの多い組織や国ほど栄え、長く続くという事実が浮かび上がってきます。
周りとの調和を重んじ、個人が突出することを疎む文化背景の日本では、チェンジメーカーの素質があっても周りの空気が抑え込み、せっかくの高い感度が行き場を失うという現象が見られます。この文化的ハードルの存在を認識することが、日本にも必ずある眠った才能を引き出す第一歩なのではないでしょうか。
*Changemaker(チェンジメーカー)は、1972年にアショカ創設者のビル・ドレイトンがつくった新造語です。新しい時代で生きる人の一つのアイデンティティーです。
New Teamwork
これまでのチームワークは、役割を振り当て、各々が専門的スキルを受け持つことで成り立っていました。新しいチームワークでは、ヒエラルキーや厳密な役割を作るのではなく、各々が全体像を把握しながら、ニーズに応じて流動的に小さなチームを形成します。
そして、目的の達成やニーズの減少に応じて、小さなチームが自発的に散っていきます (※ アショカではこれを「チーム・オブ・チームズ」と呼んでいます)。この新しいチームのあり方では、メンバーの成熟度、創造性とリーダーシップが、 従来のチームワークよりも必要とされます。
他者の気持ちを(想像力で)察知する能力とも言える認知的エンパシーを幼い頃からの教育に取り込むことを、私たちは提唱しています。エンパシーは、チェンジメーキングの基礎となる能力です。